私に愛をおしえて
あとがき

こちらでは元シナリオ情報を交え、シナリオを解説します。

◆屋敷にいた人々と正体
 廃墟となった屋敷には、ビッテンフェルト(探索者)が目覚めた時点でオーベルシュタインが3人いました。便宜上、オーベルシュタインA、B、Cとします。
 オーベルシュタインAは、ビッテンフェルトと同じ物置にて死体の状態で発見されます。偽物であり、顔面を潰されており、腹部から出血しています。彼の正体は、オーベルシュタインと体格のよく似た赤の他人です。顔も特に似ていません。彼は、過去にここで殺害された犠牲者の一人です。
 オーベルシュタインBには、ビッテンフェルトと同じ物置で出会います。偽物であり、本シナリオの犯人です。彼の正体は、この屋敷で生まれ育った『あいされたかった子ども』であり、神話生物シュブ=ニグラスと人間女性との間に生まれた女児です。彼(彼女)は、<ゴルゴロスのボディーワープ>の呪文により、本物のオーベルシュタインと瓜二つの姿に変身しています。ただし、義眼まではコピーできなかったようでした。彼がビッテンフェルトにする説明はデタラメです。
 既に正気をなくしていて、自分こそが本物のオーベルシュタインであり、ビッテンフェルトの恋人であり、彼を配偶者として屋敷で共に暮らすことこそ最上の幸せであると信じて行動します。
 オーベルシュタインCは、地下室の檻の中に幽閉されています。彼が本物のオーベルシュタインです。彼がビッテンフェルトにする説明は真実です。彼は、屋敷の玄関の鍵を持っています。

 その他、バスタブに詰まっていた死体は、これまでに『実験』の犠牲となった人々のものです。その中には、誘拐などで『実験』に協力していた、シュブ=ニグラスの寵愛をうけた女性(Bの母親)の遺体も含まれています。
 グッドエンド後に屋敷の焼け跡から発見される「何人もの骨が合成されたような、異様な」死体は、<ゴルゴロスのボディーワープ>で体を変形させつづけたBのものです。

◆屋敷の見取り図
こちらの元シナリオ・マップをご参照下さい。

◆実験の背景
 このおぞましい『実験』群の背景には、この地、すでに廃村となったオーディンの郊外のとある場所で崇拝されていた女神シュブ=ニグラスの存在があります。
 女神シュブ=ニグラスとは、<千匹の仔をはらみし森の黒山羊>といわれる神話生物です。彼女は比較的、人間がささげる崇拝や生贄などに対して(※邪神的な基準に基づき)よく報いてくれる邪神です。
 シュブ=ニグラスは、人間の『愛』を「目の前に同じ姿の人間がふたりいたとしても、偽物ではなく本物を選ぶ」ということなのでは? と考えました。それを実験するため、まずは信者である人間に子を孕ませ、魔術的素養を持つ子を造りました。そして、何らかの関係があるふたりの人物――たとえば家族、友人、そんな人物たち――の片方を誘拐します。そして子どもを<ゴルゴロスのボディワープ>によって変化させ、その人物に「成り代わらせ」ました。そして、子どもを産ませた母親を同じ人物に化けさせてから殺した後、放置します。
 果たして「生きている」人物と「死んでいる」人物、どちらが本物なのか、わかるのだろうか。どちらも本物ではない人間を人為的に作り出し、そんな実験を始めました。二回目以降は「死んでいる」人物として過去の犠牲者を再利用します。次第に子どもは狂っていきますが、それでもシュブ=ニグラスは実験を続けていきます。
 やがて実験は、狂っていく「子ども」を愛する人物を選び出すことを目的とするものに変わっていきました。

詳しくは元シナリオをご参照下さい。

◆山羊のペンダント
 シュブ=ニグラスを象ったペンダント。「子ども」の母親のもので、形見のようなもの。
 探索者(ビッテンフェルト)が持って行こうとした場合は、持っていってほしくないと感じ、自分に持たせて欲しいと頼みます。それを断られた場合は、いやそうな顔をするでしょう。

◆屋敷の使用感
 ところどころに使用感があるのは、「子ども」であるBが暮らしているためです。
 書斎は、Bの母親が亡くなった時点で使われなくなったため、埃がたまっています。

◆偽物(B)を選んだ場合のエンド
 Bに手錠をかけられ、屋敷に監禁されるバッドエンドとなります。この場合、地下室に監禁されている本物CはBに殺害されてしまいます。