吸血鬼のオーベルシュタインとフェルナーの話
あとがき

 ハロウィン限定・仮装将兵「【冷徹な吸血鬼】オーベルシュタイン」へよせて。センキュー、銀タク。サービスは終了しても、ぼくらの心には永遠に…。

 DMM.comブラウザゲーム「銀河英雄伝説タクティクス」で登場した、ハロウィン限定・仮装将兵のオーベルシュタイン元帥にすっかり心奪われ、長年こじらせてきた吸血鬼愛を上乗せして勢いで一気に書きました。15k分レアメタルを突っ込んだのにお迎えは叶いませんでしたが、妄想の上では存分に消費できました。センキュー銀タク。フォーエバー銀タク。

【元ネタや小ネタの解説】

■鏡に映らない
 吸血鬼の定番属性。採用の有無は作品によってマチマチ。吸血鬼の意識しだいで映ったり映らなかったりする設定は「ポーの一族」から引用しました。軍務省の通路に置かれた鏡が『軍務尚書は吸血鬼である』という真実をフェルナーに映し出し、その後、彼が間もなく死ぬことを暗示するアイテムにもなりました。

■真吸血鬼<<ワー・ヴァンピーア>>
 フェルナーを吸血鬼化してオーベルシュタイン邸に囲う、という大筋は最初から確定していたのですが、折角なので、囲う立場のオーベルシュタイン吸血鬼に何かしら優位な属性があるといいなと思いました。そこで、オベ閣下は生まれつき吸血鬼で、日光耐性が存在するけれど、噛まれて吸血鬼化したフェルナーは日光耐性がない、という差分をつけることにしました。この差分は「屍鬼」から引用しました。「屍鬼」では、この性能差は「人狼」と「屍鬼」の差分として描かれています。
 ただ「人狼」って名前にするとコレジャナイ感があるので、名前はもっとシンプルに分かりやすいものにしました。ちょうどアニメ「オーバーロード」を直近で観ていたのですが、トゥルー・バンパイアという種族のキャラが出てきて、この名前は分かりやすくていいなと思って採用しました。ドイツ語だと、トゥルーはワーで、バンパイアはヴァンピーアって発音になるらしい。ぐるぐる先生が言ってた。
 その他にも、「月姫」「Melty Blood」で登場する「真祖」のイメージも若干ありまして、真吸血鬼オベ閣下はコンクリに素手で穴開けられる程度にフィジカル強力なイメージです。肉体的に弱そうに見えることが、真吸血鬼の力を隠すことに役立っている…という裏設定があったりします。

■吸血鬼の色々な設定
・人間が噛まれて吸血鬼に成る条件
・いちどきに致死量まで飲み干せない
・伸縮できる犬歯
・従属させることができる麻酔のような毒
・“言い聞かせ”
・呼吸と体温と脈拍がない
→「屍鬼」
屍鬼はいいぞ。

・真の名前を呼ばれると逆らえなくなる
→「血界戦線」(うろ覚え)
正確には『真の名前を呼ぶ+命令する』までがセット。真吸血鬼オベ閣下が説明を濁した理由は、万が一自分の真の名前が漏れてしまった場合への備え。オベ閣下の真の名前などというものを決められないので足した設定でしたが、後でフェルナーに使って役立てることができました。ほくほく。

・十字架や聖水、ニンニクなどは嫌な感じがするだけ
そんなものに怯えるオベ閣下ではないっ!…でも、意味がないというのもロマンに欠けるので、こう、ちょっとやだなあ感がある、ということにしました。

■吸血鬼の毒のR-18な効果
 いつか見た同人誌から。あんなに効いたら心臓発作とか起こしそうで、あまり無害でもなさそうだ。
 獲物が目一杯抵抗しているところを大人しくさせるだけの量が分泌されているため、ベッドでリラックスしてウェルカム状態なフェルナーに注ぎ込んだら効きすぎたんだろう、と言い訳をしておきます。
 
■小官の血は美味しそうですか
 むちゃくちゃ美味しかった。裏設定に「相手の人間が好きであるほど、その血を美味しく感じる」というのをヒッソリ考えていました。吸血鬼になる性質を持っている人間の血は、吸血鬼にとって美味しいのかもしれない。飲み尽くしてしまえば、繁殖できるかもしれないから…。

■床に飲み込まれる
 血を失いすぎて昏倒し、死んでしまったフェルナーが最期に見た光景。「床に飲み込まれる」という描写は、ファンタジー小説・R.A.Salvatore作Sellswordsシリーズから。死ぬ当人は気を失うので、当人視点は描写が案外アッサリだなと印象に残っていました。

■棺の中で目覚める
「屍鬼」

■明かりがないのに周囲がハッキリ見える
「屍鬼」 吸血鬼化したフェルナーは暗視能力を獲得しました。

■西暦2016年の本
 真吸血鬼閣下が出版当時に購入し、保管していた愛蔵書。コレクター気質ではないようで、状態はあまり良くない。

■劇的ビフォーアフター
 久方ぶりに嫁を迎えた真吸血鬼閣下が本気を出しました。ラーベナルトさんは歳だし、外部業者も呼べないので、ぜんぶ自分だけで頑張りました。ただ、念動力あるし、真吸血鬼のフィジカル・パワーもあるので、それほどDIYも大変ではなかったでしょう。
 フェルナーが壁紙の継ぎ目まで細かく検分していた場合、その仕事ぶりに一部の隙もないことがわかります。

■吸血鬼は花を食べる
 あまり登場しない吸血鬼設定。私が見たのは「セーラームーン」でした。ヴィーナスだけの時の話だったか…。

■念動力
 一晩で墓掘りは無理だと思って足した設定です。こいつら…強いぞ!

■人生を振り返る
 とある自己啓発セミナーからアイディアを受けました。自分を励ましたいときにオススメ。
 
■気に入った人間ひとりだけを吸血鬼化して連れて行く
「ポーの一族」

■一輪の生花
 エピローグでビッテンフェルトが棺に入れた献花用の花。彼が最期に手向けてくれた感謝の気持ちは“オーベルシュタイン”に渡さず、ビッテンフェルトと実際に接した自分のものとして真吸血鬼閣下が持っていきました。

■ちなみに
 真吸血鬼閣下もフェルナーも「心臓に杭を打たれる」「頭を完全に潰される」「餓死する」「水に沈められる(あるいは真空に投げ出されるのも×か)」、フェルナーのみ「日光に当たる」ことがない限り死なない。真吸血鬼閣下は腹に大穴ブチ開けられましたが、自己治癒ができました。ただ、すぐに治ると怪しまれるため、葬儀が済むまで自己治癒を止め、死んだフリをしていました。
 自己治癒が止められること以外は「屍鬼」からの引用です。